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国際人権保障の展開

先住民の文化は、これまで支配民族による同化政策や居住地域に対する開発行為によって、その存続が脅かされてきました。

そこで、現在では、複数の人権条約が先住民の文化的権利を保障しています。すでに成立している国際条約には、「市民的及び政治的権利に関する国際規約」、「独立国における先住民及び部族民に関する条約(ILO169号条約)」があります。

また、さらに、2002年に国連経済社会理事会は、先住民の問題を専門的に議論する機関として、「先住問題常設フォーラム」を設置しました。最近では、「先住民族の権利に関する国際連合宣言草案」が、2006年6月に国連人権理事会で採択されました。

自由権規約
自由権規約は、27条で「少数者」 の文化的権利を保障しています 。この点、自由権規約には少数者の定義がありませんが、少数者として先住民を対象としていると考えることもできます。

ILO169号条約
ILO169号条約は先住民の権利を直接に保障の対象とする国際条約です 。1989年にILO総会が採択し、締約国は2005年現在で17ヶ国です 。ILO169号条約の前身は、1957年にした「独立国における先住民、他の部族民及び半部族民の保護及び同化に関する条約」です。しかし、ILO107号条約の目的が先住民をそれぞれの国民社会に同化することであったため批判を受けました。そこで、ILO107号条約を改訂しILO169号条約が成立したのです 。

先住民族の権利に関する国際連合宣言
国連は現在、人権委員会の作業部会において、「世界の先住民の国際十年」(1995年から2004年)の最終年にあたる2004年の採択を目指して、先住民に関する新たな国際文書である「先住民族の権利に関する国際連合宣言草案(以下、宣言草案)を審議してきましたが、2006年6月に国連人理事会が同草案を採択し、2007年9月13日に国連総会でようやく採択されました。

先住問題常設フォーラム
先住民に関する問題を議論する国連の新たな機関として、2000年に「先住問題常設フォーラム(Permanent Forum on Indigenous Issues)」が発足しました 。PFIIは経済社会の発展に関する先住民の問題を議論する国連経済社会理事会の諮問機関です。PFIの主な役割は、@経済社会理事会を通じて国連機関及び計画に先住民問題に関する助言や勧告を与えること、及び経済社会理事会へも助言や勧告を与えること、A国連機関の先住民問題に関する意識を高め、その活動の統合と調整を促進すること、B先住民問題に関する情報を準備し広めること、です。